『おバカさん』 遠藤周作


遠藤周作にチャレンジ♪
本当は『沈黙』を読みたいんですが、
何度図書館で借りてもついつい他の本を先に読んでしまって、
結局読む前に返却期限が来ちゃうんですよね(笑)
というわけで、今回はもっと気軽に読めそうな文庫本にしました。


舞台は戦後十数年経った日本。
ちゃらんぽらんな兄貴・隆盛としっかり者の妹・巴絵の元に1通の手紙が届きます。
それは隆盛の古い文通相手のフランス人・ガストンからのもの。
なんでも、もうすぐ日本にやってくるということ。
突然やってくる異国の人に家族全員おおわらわ。
憧れのフランス人、しかもかの有名なナポレオンの子孫であるというのだから、
どんな素敵な人かと思いきや、港に現れた姿を見てびっくり。
まさに「うどの大木」という言葉が相応しい、ぼんやりとして間抜けな男だったのです。
しかし、交際を深めるにつれて、
二人は彼が人として大切なものを持っていることに気付きます。


人間が忘れてはいけない何かを思い出させてくれる短編小説。




とりあえず読み始めは時代を感じます。
登場人物の様子とかがいかにも一昔前で、不思議な感じ。
でも、半世紀前はこんな風だったんだよなぁ。


ガストンの持っている「大切なもの」とは『真心』のこと。
彼はとにかく人を信じます。
そして、人のために尽くします。
けれど、彼は不器用なので、なかなかうまくいきません。
しかしそれでも彼は他人のために尽くすのです。


というわけで、現代人の忘れてしまった『真心』がテーマなんでしょうけど、
でも、これって本当に忘れているのかなぁ?
だって、ステレオタイプ的にはそういわれているけど、
周りの友人を思い出すと、そんなに冷たいなんてことはないし。
こんなに純朴な人を最近見たことはないけれど、
別に頭がよいからって冷酷であるわけではないし、
純朴なことがすばらしいわけではないと思う。


でも、自分とは無関係な人に対して親切にすることは減っているかも。
突然訪れてきた人を温かく迎えたり、
おなかをすかせた人にご飯をふるまったり、などなど…。
赤の他人にこんなことをするなんて考えられない。


明治時代に日本人の美徳は他人に親切なことだといわれていたと思うけど、
確かに今は昔ほど他人に親切ではないのかもしれないなぁ…。


などなど、いろいろと考えさせられた小説でした。
まとまりなく徒然書いたせいで読みづらくてごめんなさい。